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【物語】望まれた青い花

青い花は言いました。
「今日も君は素晴らしい色をしているね。」
すぐ隣に咲いている黄色の花が答えました。
「そちらこそ、良い色をしていますよ。」
青い花はその返答を聞くと、
ニッコリと笑ってこう続けました。
「そういえば、最近、馴染みのこがね虫君は
元気にしてるかい?」
黄色の花は少し考えたあと、こう答えました。
「うーん・・何だか家族がご病気みたいで、
最近会っていないんだ。
何かしてあげたいんだけれど、
何も浮かばなくて・・・」
青い花はそれを聞くと、しばらく考えた後、
一つの提案を持ちかけました。
「だったら、君の花びらを一枚だけ
分けてあげるといい。その花びらは
幸福の象徴だからね。
きっと貰った方はとても喜ぶと思うよ。」
それを聞いた黄色の花は、パっと表情を
輝かせて、青い花に問いかけました。
「それはとても良い提案だね!けれども、
どうやって僕の花びらを、
こがね虫君のところまで送り届けるんだい?」
青い花は頭上を見上げながら、
その問いに答えました。
「それは、最近よく僕らの上を飛び回っている、
あの大きな鳥さんに頼むんだよ。」
青い花は大きく息を吸い込むと、
隣で目を丸くしている黄色い花を尻目に、
一息でこう叫びました。
「おーい、鳥さん!聞こえますかー!」
黄色い花はびっくりして、
青い花に問いかけました。
「君、すごい行動力をしているね。」
照れながら、青い花は答えました。
「そうかな?」
今まで優雅に飛び回っていた大きな鳥は、
突然の呼びかけに驚いて下を向きました。
「誰だい?僕を呼んだのは。」
青い花は、鳥にもよく届くよう、
大きな声で言いました。
「僕です。青い花です。
あなたに頼みごとがあるのですが。」
大きな鳥は、まさか自分が花から
話しかけられるとは思っていなかったので、
最初は戸惑いましたが、
すぐに嬉しさがこみあげてきました。
実はこの鳥は、前々から青い花のことが
気になっていたのです。
「何だい?頼み事って。」
大きな鳥は言いました。
「実は、黄色い花君のことなのですが・・」
そうして、二本の花は、事の成り行きについて
丁寧に鳥に説明し始めました。
全てを聞いた大きな鳥は、
「うん、いいよ。そのくらいなら。」
と快く聞き入れてくれました。
「但し、」
と、大きな鳥は言いました。
「僕の頼みも聞いてくれるなら。」
二本の花は、同時に答えました。
「頼みって?」
「僕に青い花びらを一枚貰えないかな。」
一瞬、何のことか分からなくて、
青い花はきょとんとした顔をしてしまいました。
それを見ていた黄色い花は、
どうしたの?青い花君。と呼びかけます。
「どうしたもこうしたも・・・」
青い花は戸惑いながら答えます。
「僕の花びらで良いの?」
大きな鳥は間髪入れずに答えました。
「僕は君のがいい。」
隣で見ていた黄色い花が、
満面の笑みを浮かべてこう言います。
「だから毎回言ってるじゃないか。
黄色い花だけが全てじゃないって。」
遥か上空で旋回しながら、
大きな鳥が言いました。
「ここには広い大地以外何もないからなぁ。
君のように青い花は貴重なんだよ。」
青い花は照れ臭さに頬を赤らめ、
小さな声で、「ありがとう。」
と呟きました。

澄み渡る青さの空に二枚の花びらを
くわえた鳥が、目的地めがけて 
ゆっくりと飛び立っていきました。